懲役339年(全4巻)感想。漫画と言うには勿体無い、映画のような作品だった。

伊勢ともか先生のデビュー作である「懲役339年」(全4巻)を紹介します。
3巻までのレビューはこちらをご覧ください。

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あらすじ

神の教えである「教典」を真理とする、転生や生まれ変わりが信じられている、ある国のお話。
この国では、大罪を犯した者が刑期を残したまま獄死すれば、その生まれ変わった者が魂を浄化するために再び収監される。
とある罪により懲役339年という刑期を科せられたハロー・アヒンサーは319年の刑期を残して獄死。
この物語はハロー・アヒンサーの魂を受け継ぐ、何人かのハローアヒンサーを中心として描かれていく。

感想

色々な視点から見ることの出来る作品

教義や出展など不明ながら「教典」を中心に描かれており、様々な角度からこの作品を読むことが出来ます。
例えば、初代から最後のハロー・アヒンサーを追い掛けて読み解いてもいいです。
他にはアーロックとその日記の意義を追い掛けてもいいかも知れません。

コンパクトにまとめられた作品4巻でこれでもか、という感じに人物の動きや世界観を盛り込んでいます。
「魂は受け継がれる」という意味を理解できる作品かも知れません。
盛り込み過ぎに思えながら、それでも食傷気味にならないのは、話の根幹に「教典」がしっかりと刻み込まれているからでしょう。
読み終わった後には、「心に残る壮大な映画を見た」ような感覚になります。
読んでいた、ではなく、観ていた、そんな表現が相応しいかもしれません。

気になった点

序盤は仕方ない側面もあるのですが、2代目と3代目の話があまりにもサラッと流れたのは気になりました。
「掴み」の部分であるので、あまり内容をてんこ盛りにし過ぎれなかったのでしょうが、とても勿体なく感じました。
アーロックとハロー・アヒンサーの関係は、もう少し掘り込んで欲しかったです。

Kidle版に注意

ちなみにこの作品にはB-SIDEというオマケ四コマが入っているのですが、最終巻である第4巻はページの都合からかカバー裏に入っています。
Kindle版にはこのカバー裏が入っていないようなので注意が必要です。

お気に入りのキャラ

ミョンドとディスコ

作中では数少ない、神を信じてるキャラ二人が出会うことはなかったですが
敬虔な信者であるミョンド
懲役339年005
そして狂信的な信者であるディスコ
懲役339年001
「教典」が本当に信じられていた世界なら、ここまで翻弄されることはなかったかも知れません。

法皇ユースティティア8世と6代目ハロー・アヒンサー

懲役339年002
操り人形みたいな幼かった二人が、終盤で一気に成長した展開は心に来るものがありました。
やはり最後はこの二人で締めてくれました。

オレンジマン

4代目ハローから出てくる、今作の敵です。
皇憲隊でありながら神を信じていない
鉄仮面のような無表情なキャラでしたが、
懲役339年003
最期は感情をむき出しにしてハロー達に襲い掛かります。
懲役339年004
自分の理解者が倒すべき相手という、まるで主人公のような設定でした。
彼もまた、ハロー・アヒンサー達と同じように「教典」に振り回された犠牲者と言えるでしょう。

現代の二人

懲役339年005
色々な考え方が出来ると思いますが、物語が終わった後の余韻の中でこんな話を最後に持ってくるとは。
生まれ変わりが否定されるような話の展開だったのに、生まれ変わりがあるようなことを仄めかすエピローグでした
物語の、本当の意味での締めの話でした。

素晴らしくまとめられたこの作品、みなさまも是非一度「観られて」はいかがでしょうか。

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