北海道の砂川市・小樽市で起きた危険運転致死傷事件と新条例・自動車運転死傷行為処罰法についてのまとめ。【更新】

12月9日、札幌高裁は小樽市の死亡事故についての控訴を棄却しましたが、12月23日に被告が最高裁に上告したという報道がありました。

本稿では、本件を含んだ、北海道で発生した重大死亡事故2件と、自動車運転死傷行為処罰法の内容(過失致死等との違い)について再度確認してみたいと思います。

2件の自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)事件の概要

小樽市

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事故発生日:2014年7月13日午後4時半ごろ

海水浴帰りの女性4人が車に跳ねられ、3人が死亡、1人が重傷を負った事故です。

事故を起こした海津雅英被告は午前4時半ごろから近くの砂浜で酒を飲み、事故を起こす直前まで12時間も飲みっぱなしでした。そして車でタバコを買いに行く途中に、スマートフォンの操作をしていて前方不注意となり4人を跳ねました。梅津被告は事故後、4人の手当てや通報をせずそのままタバコを買いに行ったといいます。

2015年6月29日 初公判

海津雅英被告の裁判員裁判の初公判が6月29日、札幌地裁でありました。海津被告は「アルコールによって正常な運転が困難な状態ではなかった。その他の事実は間違いない」と述べ、危険運転致死傷罪については否認しました。

札幌地検は2014年8月、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷罪)などの罪で梅津被告を起訴しています。しかし、厳罰を求める遺族から7万人分を超す署名が提出されたのを受け再捜査を開始しました。
そして2014年10月、より罰則の重い危険運転致死傷罪に訴因変更しました。
2015年6月に地検は、過失運転致死傷罪などを予備的訴因として追加しており、合わせて審理されます。

(朝日新聞デジタルより)

2015年7月9日 一審懲役22年(求刑通り)

自動車運転処罰法違反の罪などに問われた海津雅英被告の裁判員裁判が7月9日に開かれ、札幌地裁は求刑通り懲役22年の判決を言い渡しました。

判決は飲酒の影響による脇見運転が事故の原因と認定しています。
佐伯恒治裁判長は「被告は時速50~60キロで車を走行させながら、15秒から20秒程度、スマートフォンを見るため下を向いていた。『よそ見』というレベルをはるかに超える危険極まりない行動だ」と指摘しており、被告に自動車運転処罰法違反のうち、危険運転致死傷罪を適用しました。

(産経ニュースより)

2015年12月9日 控訴棄却(札幌高裁)

北海道小樽市で昨年7月、海水浴帰りの女性4人がレジャー用多目的車(RV)にはねられて3人が死亡した事件で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道交法違反(ひき逃げ)に問われた札幌市西区の元飲食店従業員、海津(かいづ)雅英被告(32)に対する控訴審の初公判が8日、札幌高裁であり、即日結審した。高橋徹裁判長は「1審判決に不合理な点はない」と述べ、懲役22年とした札幌地裁の1審・裁判員裁判判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。被告側は上告を検討するという。

(毎日新聞より)

2015年12月23日 上告

小樽市で昨年7月、海水浴帰りの女性3人が死亡、1人が重傷を負った飲酒ひき逃げ事件で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた札幌市西区、無職海津雅英被告(32)が、控訴を棄却した札幌高裁判決を不服として、控訴期限の22日付で最高裁に上告した。

(YOMIURI ONLINEより)

本件については検察側が「アルコールの影響であり、危険運転致死傷罪が適用される主張し、判決でもこれが支持される一方、弁護側は、携帯電話使用の脇見運転による過失運転致死傷罪を主張しています。下記の条例成立の背景なども含め弁護側不利な状況であることは間違いありません。

2017年4月20日 上告棄却、判決確定

海津被告は判決を不服とし上告していましたが、最高裁判所は上告を棄却し、刑が確定しました。

(UHB 北海道文化放送より)

事件の影響

2015年11月26日、定例道議会が閉会し、議員提出による「飲酒運転根絶条例案」が全会一致で可決しました。

条例には、飲酒運転をしないことや、飲酒運転を制止したり、飲酒運転を確認した際に警察へ通報したりする努力義務が盛り込まれています。条例に罰則規定はありません。

また、小樽市の事故のあった7月13日を「飲酒運転根絶の日」と定めました。

なお2015年の北海道の飲酒を伴う事故の死者数は砂川市の事故を含む11人です。(9月時点)
条例が施行されることで、飲酒運転や飲酒運転に絡んだ事故が減っていくのかが注目されます。

砂川市

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事故発生日:2015年6月6日22時半ごろ

北海道砂川市で歌志内市の家族4人が死亡、1人が重体となった事故で、札幌地検は7月10日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪で、古味竜一容疑者(26)を起訴しました。

起訴状によりますと、古味被告は友人の谷越隆司被告(27)と共謀。6月6日の22時半ごろ2台の車に分乗し、スピードを競うために砂川市の砂川西1北22の交差点に赤信号を無視して進入しました。
その結果、谷越被告の車(BMW)が一家の軽ワゴン車に衝突。古味被告も車外に投げ出された一家の高校1年生の長男を車でひきずり、5人を死傷させたとしています。

なお、一時意識不明の重体だった中学1年生の次女は、回復に向かっており現在命に別状はないそうです。

(産経ニュースより)

起訴状況

BMW シボレー
運転手 同乗者 運転手 同乗者
名前 谷越隆司 2名 古味竜一 1名
概要 飲酒運転。猛スピードで被害者車に衝突・逃走・証拠隠滅 飲酒 飲酒運転。BMWとレース・ひき逃げ・証拠隠滅 飲酒
罪状 危険運転致死傷罪・道交法違反 証拠隠滅 危険運転致死傷罪・道交法違反 証拠隠滅
状況 起訴 不起訴 起訴 不起訴
谷越隆司被告人のこれまで

 

  • 6月12日 危険運転致死傷罪で逮捕
  • 6月14日 送検
  • 7月3日  危険運転致死傷罪(共謀)で起訴
  • 7月17日 道路交通法違反(酒気帯び)で追送検
  • 8月19日 道路交通法違反(酒気帯び)で追起訴
  • 10月17日 裁判員裁判初公判(札幌地裁)
  • 10月27日 被告人質問(札幌地裁)
  • 10月28日 裁判員裁判(札幌地裁)
  • 11月10日 判決(札幌地裁)

谷越被告は逮捕後も、「青信号だった」「100キロ以上は出していない」と現在も容疑を否認しています。

10月17日の初公判で、谷越被告は「酒気帯びで運転したことは間違いないが、事故は前方不注意の過失によるものだ」と述べるなど起訴内容を一部否認しました。

10月27日の被告人質問で、谷越被告は弁護人の質問に対し、「信号は青だと認識していたし、赤だったら止まっていた」と話し、時速100キロ以上出ていたという速度についても、「自分はそのような認識はない」と否定しました。

10月28日、検察側は谷越被告に懲役23年を求刑しました。判決は11月10日に言い渡される予定です。

11月10日、札幌地裁(田尻克已裁判長)は、求刑通り谷越被告に懲役23年の判決を言い渡しました。

古味竜一被告人のこれまで

 

  • 6月9日 ひき逃げ容疑で逮捕
  • 6月11日 送検
  • 7月3日 危険運転致死傷罪(共謀)で再逮捕
  • 7月10日 危険運転致死傷罪(共謀)で起訴
  • 8月19日 道路交通法違反(ひき逃げ)で追起訴
  • 10月17日 裁判員裁判初公判(札幌地裁)
  • 10月28日 裁判員裁判(札幌地裁)
  • 11月10日 判決(札幌地裁)

古味被告は、逮捕後、何度か供述を変えていますが、最終的にスピードが出ていたことを認め、事故についても釈明することはないと供述しています。

10月28日、検察側は古味被告に懲役23年を求刑しました。判決は11月10日に言い渡される予定です。

11月10日、札幌地裁(田尻克已裁判長)は、求刑通り古味被告に懲役23年の判決を言い渡しました。

同乗者

BMWとシボレー、合わせて3人の同乗者については全て不起訴となっています。

事件の影響

マスメディアに取り上げられる衝撃的なニュースとなりましたが、容疑者の逮捕以降それほど報道はありません。

また、小樽の事故発生日である7月13日を「飲酒根絶の日」とする一方で、その翌年6月6日の砂川の事故については何故かノータッチです。

「危険運転致死傷罪」とは?

2014年に施行された「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(略称:自動車運転死傷行為処罰法)」に基づき適用されるものを指します。

以下のような8つの行為に対して適用されます。

  1. アルコールや薬物の影響による酩酊状態での運転
  2. アルコールや薬物の影響で正常な運転に支障が生じる恐れのある状態での運転
  3. 制御困難な高速度で自動車を走行させる行為
  4. 運転技能を有していない、または未熟な状態での運転
  5. 他車を執拗に煽ったり、他車に割り込んだりする行為
  6. 殊更に赤信号を無視する運転
  7. 通行禁止道路(歩行者天国など)を危険な速度で走行する行為
  8. 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響で、正常な運転に支障がある状態での運転

「過失致死傷罪」の変遷

自動車の運転による過失致死傷罪に関する法律の変遷について、2000年代からの動きを大きく3つに分け紹介いたします。

  1. 2001年12月に、危険運転致死傷罪(刑法)が成立しました。今までは業務上過失致死(刑法)の適用範囲だった悪質な運転による事故は、こちらの罪状が適用されるようになります。2005年1月には、致死に対する最高懲役が15年、加重により最高20年だったところ、最高20年、加重により最高30年に引き上げられます。
  2. 2007年6月 自動車運転過失致死傷罪(刑法)が成立し、業務上過失致死傷の罪名がこちらに変更となりました業務上過失致死傷では5年以下の懲役だったのに対し、自動車運転過失致死傷では7年以下の懲役と刑が引き上げ。また、同時に危険運転致死傷罪の主体が原付や二輪車が起こした事故についても適用されるようになりました。
  3. 2014年5月 自動車運転死傷行為処罰法が成立し、自動車運転過失致死傷罪と危険運転致死傷罪が刑法から移管。これにより、自動車運転過失致死傷罪は過失運転致傷罪に変更となりました。

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※新法:自動車運転死傷行為処罰法

法改正に次ぐ法改正で法律や適用罪状が変わっています。

「業務上過失致死」という言葉を聞き慣れた方には意外かもしれませんが、刑法上は存在していますが、交通事故においてこの言葉を使うことはなくなっています

法改正の契機となった事件

上表にも示していますが、「隠ぺいなどで悪質か過失か判断できない事故」として、2014年以前の法体系では、明らかに危険な運転であったにも関わらず危険運転致死傷罪(刑法)として適用されない事故もありました。

福岡海の中道大橋飲酒運転事故(2006年)

事故を起こした運転手が事故現場から逃げた後、大量の水を飲んで血中アルコール濃度を下げる隠ぺいを行いました。当時、危険運転致死傷罪よりもひき逃げの方が刑罰が軽かったため、当時マスメディアなどは「逃げ得」だと批判、これを機に2007年飲酒運転とひき逃げの罰則が強化されました。
この運転手は最終的に危険運転致死傷罪が適用されています。

鹿沼市クレーン車暴走事故(2011年)

クレーン車を運転していた男性はてんかんの持病がありましたが、免許取得や更新の際にも申告しませんでした。運転手は過去10年で12回もの事故を起こしているほか、事故当日は薬の服用も怠っていました。
しかし薬の服用を怠ったのが故意かどうかを認定することは難しいとして、自動車運転過失致死傷罪の適用にとどまりました。

亀岡市登校中児童ら交通事故死事件(2012年)

事故を起こした少年が無免許だったことで危険運転致死傷罪の構成要件を満たさず、少年は自動車運転過失致死傷罪で起訴されました。

「自動車運転行為処罰法」の罪状と罰則

先に挙げたような事件を教訓とし、厳罰化するため、「自動車運転死傷行為処罰法」には無免許者に対する刑罰の加重や、発覚免脱罪という逃げて飲酒をしていたことを隠蔽することに対する規定が設けられています。

旧の法律に比較すると、罪状と刑罰がかなり多岐に分かれています。

罪状 一般 無免許
危険運転致死罪 準酩酊等運転と病気運転を除く 1年以上の有期(20年以下)懲役 同左(加重なし)
危険運転致傷罪 準酩酊等運転と病気運転を除く 15年以下の懲役 6月以上の有期(20年以下)懲役
(未熟運転の場合は加重なし)
危険運転致死罪 準酩酊等運転と病気運転 15年以下の懲役 6月以上の有期(20年以下)懲役
危険運転致傷罪 準酩酊等運転と病気運転 12年以下の懲役 15年以下の懲役
発覚免脱罪 12年以下の懲役 15年以下の懲役
過失運転致死傷罪 7年以下の懲役もしくは禁錮、
または100万円以下の罰金
10年以下の懲役

出典:Wikipedia『自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律』

旧法より、適用罪状や罰則のバリエーションが相当多くなっています。

結びに

私はこの10月に免許更新に行きましたが、飲酒運転の危険性については説明されるものの、「自動車運転死傷行為処罰法」に関しては特に説明もありませんでした。地域差にもよるとは思いますが、妙にアナウンスが少ないように感じなくもないです。

現行法から比較すると、旧法があまりにも不完全だったという印象が拭えないですが、それをごまかすためだったりするのかもしれません。(違うか・・汗)

それと北海道の事故に関しては、「飲酒運転根絶条例」が砂川の事故をスルーするのは、どうも違和感があります。砂川の事件をベースにしてしまうと、酒を提供するお店への取り締まりを厳しくする必要が生じるため、あえて話題にしていないのではないか・・・と大人の事情を勘ぐってもみたくなります。

せめて、この記事によって、「自動車運転死傷行為処罰法」を、多くの人に知っていただき、飲酒運転や危険運転による悲惨な事故が減っていくことにつながれば幸いかなと思います。

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