【読書感想】住野よる『かくしごと』の未読了時の感想(ファン注意)

かつて自分の音声レビューの中で、住野文学ワールドにほれ込んだこともあり、

「出た本は逐一読み、余さずレビューしたい」と申し上げました。

か「」く「」し「」ご「」と「

今回は『かくしごと』(厳密には『か「」く「」し「」ご「」と「』)のレビューです。

一度買って手に取ってみたはよいが、個人的には世界観が今までとは少し異なることもあり、2章の途中で読むのをあきらめてしまいました。

そしてヤフオクに出したのですが、思い直して今に至るということです。

本記事に措いては、今回この作品について、僕がどうしてなじめなかったのかということを主眼としながら、住野よる的文学を解剖していきたいと思います。

この作品、性別や年代、経歴などによって、とらえ方が大きく変わってくるかと思いますので、忌憚なくコメントをくだされば大変ありがたいと思います。

キャラのレンジが狭い

愉快な女の子と押しに弱い男の子という構図、これは『キミスイ』『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』どれとも同じです。

女「さ、いくよいくよ!」
男「おっ、おう……! ってなんで僕までついていかなくちゃいけないんだよ」

勝手に書いてみただけの会話ですが、基本枠は上記です。特に男子の方は、軽いノリツッコミをする関西風のテイストがはいっています。

こういったキャラの二項軸というのを、上手く上下左右に伸縮してくれたのがまさに、『また、同じ夢を見ていた』なのですが、『よるのばけもの』は独創性に走りすぎ、食傷気味であったところに本作品。

やはりキャラ立ちの悪さというのを意識したのか、ごまかすかのようにカバー帯でキャラ紹介イラストを重ねてきたところ、もはや昭和末期のおっさんが手に取るには遠い存在であるような感じも思わされました。

一部のファンは切っても問題ない! という判断もあったのかもしれませんが、僕は脱落組ですね。

ただ言わせてほしいのは、基本的には若年世代の共感を得られるような作品構成にしたにもかかわらず、「パーペキ」などと、エヴァのミサトさんが使うセリフをちりばめたりするところがあるところです。

こういった一つ一つの枝葉末節にこだわるといつもお叱りを受けるのですが、人間が文字を紡いでいる以上、時期や時流、そして自分の過去の記憶や経験が一つ一つの文字には宿るわけです。

そこで「パーペキ」という言葉を女子に使わせた、というのは、やはり世代的には”こっち側”なはずです。

”こっち側”つまり旧世代の人間が頑張って”向こう側”新世代に改変して提供している、という利益構造を批判するのは、単なる”持たざる者”のやっかみかもしれませんが、いずれにしても、独創性の面からも、この作品は私としては評価をすることはできない、と思います。

(読んでから言えというお言葉もお待ちしております(´・ω・`))

立場小説としての先行作品

実際に「キミスイ」については、やや厳し目に批判をさせていただきました。具体的には『半分の月がのぼる空』を完全ベースに、『セカチュー』『恋空』を混合させただけの作品というものです。

ちなみに手紙で締めるというのは、テキスト文化で言えば”絶望の世界”や『県庁の星』なども表した桂望実の『死日記』なども該当しており、目新しさはなく、それらのパーツをテトリスに組み合わせたというイメージがあります。

(もしかして住野よるさんって製作委員会式で作ってたりするのかな?)

『ブギーポップは笑わない』

私の親友で霧島という者が居たのですが、彼が非常に愛していた作品の一つ『ブギーポップは笑わない』でした。この作品は現代ライトノベルの潮流と言っていいほど、後年の作品に強い影響を残すシリーズであり、特徴としては、作品の流れがエージェント視点、一般の人々の視点など、それぞれの立場から物事が進んでいきます。

こういった立場小説は、もちろん『ブギーポップ』だけではなく、確か東野圭吾もこういった描き方をしており、大衆との融合を図ってはいたのですが、それが特に顕著になったのが新世代の旗手である朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』においてです。(親友の名前と符合しています……大したお話ではありませんが)

桐島、部活やめるってよ

『桐島』ではいわゆる”インキャ”や”陽キャ”が出てきますが、みんな得意分野がみんなあって、お互いがその領分をわきまえながら、生活をしていきますよ、といった感じの小説であると見受けられる点です。そのため話が各カーストを包括しており(つまり平等)、多層の世代やグループからの支持を得やすかったように思います。

その類似として、『シン・ゴジラ』が受けた理由もそこにあります。私も、昨年の映画『シン・ゴジラ』を非常に高く評価しましたが、これは単に映像的な圧倒的ゴジラとの決戦というのが大事ではなく、ゴジラを倒すために地味なメンバー、鼻つまみ者が集まり、”プロジェクトX”として、敵のコアを突くために寝ずに研究し解決策を発見、そして現場最前線では重機部隊が命の危険を一顧だにせず薬液を注入、一部隊は殲滅しながらも、戦い続ける、そして先のタマ作戦でほぼ殲滅された自衛隊も、「戦うことだけが仕事ではない、被災した人に手を差し伸べるのも我々の使命だ」と、自らの本分を尽くす、それぞれの立場というのを本当に活用する、強烈な”生き様”の提示があったところが大事なのです。

対して本作品は、基本的にはスクールカースト上位の人間らの人間模様、といったところで、正直”選ばれし者”の乳繰り合いで楽しめないのではないか? というレンジの狭さに共感を得ることが難しいというのが正直な感想です。

『お前はインキャだからダメなんだよ』とおっしゃられる方、最もです。私は中高を男子校で過ごし、またそれを言い訳とすることで女性との接触がほとんどありませんでした。したがってスクールカースト上位の当たり前の馴れ合いを見てるだけでゾワッとする、という要素はあります。それは否定しません。

しかし、事実として、上述のような既存の作品をテトリス方式で組み合わせて行っている、製作委員会方式的な作品になってしまっていることは間違いありません。メインストリームである彼らが一方的に舞台をかき回すのではなく、もっと広い視点に立って、スポットライトを浴びないような人間にもその活躍の場を差し伸べながら、作品をつくるべきではないのか、思うところであります。

2章とその先をパラパラと読んだ感想は以上になりますので、もしファンの方で不快に思われた方がいらっしゃったら、是非ご意見をお待ちしたいと思っております。

また、同じ夢を見ていたは好きよ

誤解(?)のないように申し上げておきますが、前々作の『また、同じ夢を見ていた』は優れた作品の類に属すると考えています。それは奈ノ花の人生教訓が諧謔的に上手く込められていることが大きいとも考えられます。「人生はチョコレートのようなものである。開けてみないとわからない」というフォレスト・ガンプばりのとろみがありながらも深い人生教訓を幾度と語りながら、本題となる、不登校になった友人を救うべく、あらゆる時間軸を旅する(?)というものです。

これは最近流行のループものとも一線を画した斬新とも言える手法で、『とにかく1人の登場人物の足跡で、限られた人生のなかで、成功をしてみせる』という意欲作で、二作目で頭角を出してきたか!というのでワクワクはしていました。

『よるのばけもの』はタイトルにご自身の名前が含まれているし、一種のメルクマール作品であったこともありますから、ノーカン。

結論

製作委員会方式(勝手につけてますが)として外野の声に惑わされず、書きたい物をさらっと描いたらきっと良い作品が出てくるのではないかと思います。

出版社やメディア側の移行としては、ジャニタレやイケメン俳優と美しい女優で画になる映画を期待したいと考えられているのかもしれませんが、世代を超えて愛されるべき作品は、『三丁目の夕日』のような、笑いだけでなく”家族の絆”までも考えられるものであり、それと同列に並べうる(?)『また、同じ夢を見ていた』はそんな歴史の一ページを刻み込めるような映画、学校教育映画になると私は思っているところです。

なので、『君の名は。』に続けとばかりに能力が高くはないであろうプロデュース軍団の意見を意に介せず、自分が書きたいもの、書くべき物を追求して、文章の世界という戦場に身を投じていただきたいと思う次第です。

本作品は、雑誌に隔月などで、2015年9月から3ヶ月おきに定期的連載されていたものであることから、描き下ろしではないぶん、物語としての接合性がゆるくなってしまったりしたことにも問題があるかもしれません。

いずれにしても、私はこれからも良作を、期待したいと思います。

次は、こういう風に短編のものでは無ければ、読むかな。

ちょっと乱文になってしまいましたが、反応いただければ飛び上がって喜びます(∩´∀`)∩ワーイ

それでは、失礼いたしました!

か「」く「」し「」ご「」と「
住野 よる
新潮社
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