【漫画】模造クリスタル先生『黒き淀みのヘドロさん』(第1巻)初回特典・感想 読後の寂しさが売りな作品

模造クリスタル先生の『黒き淀みのヘドロさん』(第1巻)の感想です。
ウェブコミで大人気である模造クリスタル先生の『ビーンク&ロサ』以来、2作品目となる商業化単行本作品となっております。

黒き淀みのヘドロさん 1<黒き淀みのヘドロさん> (it COMICS)
模造クリスタル
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作者と作品について

全1巻であった『ビーンク&ロサ』と違い、今作は続刊予定があるようでナンバリングがされております。

模造クリスタル先生の一部の作品は、先生ご自身のサイトである「模造クリスタル」で読むことが出来ます(ちょっと病んだ感じがする作風であるので、知らない方には少し注意が必要)。
前作の『ビーンク&ロサ』は読むことが出来ませんが、今作の『黒き淀みのヘドロさん』は第1巻の大半が読むことが出来ます(こちらです)。

模造クリスタル先生のウェブコミでの代表作と言えば「金魚王国の崩壊」。
かなり病んでいる雰囲気がある作品ですが、非常に面白く、色々と考えさせてもらえる内容であります。

初回特典


イラストカードでした(とらのあな購入特典)

作品紹介

カルト的人気を誇るのWEBコミック、完全書籍化!

新種の生命体・ヘドロから「白馬の騎士」として作られた人造人間ヘドロさん。
誕生したばかりの彼女は善悪の基準があいまいだが、純粋な心の持ち主だった…。

WEBコミック界で絶大な支持を得ている模造クリスタルが描く最新作。

Amazonより引用

無表情なお嬢様であるひかりに仕える執事である斎二ジロー(ヘドロさんからは「シャンプーボム」と呼ばれる)は、お嬢様から冷淡に扱われている自分の限界を感じていました。

そんな時に、クラスメイトである黒魔術師のレーンちゃんが黒魔術を使って「何もかも解決してくれる白馬の騎士」を一緒に作ろう、と話を持ちかけてきたことから物語が始まります。

メインの人物は、ヘドロさん・レーンちゃん、そしてジローの三人です。

感想

不思議な寂しさを覚える(気に入った点)

レーンちゃんは、オホーツク海のヘドロを使い、人造のヘドロ生命体であるヘドロさん(レーンちゃんは「黒き淀みのクラウネッサ」と名付ける)を作り上げます。


レーンちゃんがお菓子や砂糖といったものではなく、あえてヘドロで作った理由

レーンちゃんの純粋な気持ちから作られた、善悪の区別が曖昧で純粋な心を持ったヘドロさん。

第1巻では「お嬢さま編」と「りもん先生編」(それぞれ前後編に分かれてます)の2編が収録されています。
お嬢さま編では、お嬢さまとの関係をどうにかしたいジローを、ヘドロさんが助ける話です。


ジローの悩み

「私があなた(ジロー)を必要としていないことを証明する為に、あなたを殺す」とまで言われる、お嬢さまであるひかりと執事のジローの歪んだ主従関係。


お嬢さまの悩み

しかしそんな歪んでいるとは言え一応は安定していたその関係が、ヘドロさんの出現によって変化してしまいます。

「りもん先生編」では、学校に不慣れなヘドロさんに学校案内するなど先生や生徒からの人望も厚い大石理文<おおいしりもん>先生がメイン。
りもん先生ですが、実は教師ではなく(教員助手でも教育実習生でもない)、自分を教師だと思いこんでいる近所のアホという。
教頭先生から、ヘドロさんの通学を認める代わりに、りもん先生の素性を探ることを言われる。

基本的に、どこか陰惨とした雰囲気の中で進む物語ですが、


時にコミカルな描写も

独特な言い回しに、歯切れの良い台詞があり、作品の世界観に引き込まれます。

りもん先生編では一応の解決を見ますが、二つの話のどちらとも言えるのですが、困っているから・良かれと思って、問題に介入すること・解決することが、本当に良いことなのか、分からないということ。


本当に解決する必要があったのか、それすらも分からない

考えさせられる展開に、読後には寂しさが味わえる作品です。

幼馴染み

第1巻の前半部であるお嬢さま編のメインの二人である、ひかりとジローは小学校の頃からずっと一緒の間柄とのことです。
確かに雰囲気こそ幼馴染みらしい感じはありましたが、回想シーンなどの直接的な描写は特になく。

お嬢さま編は解決しているようでうやむやに終わっている感じもあり、ジロー自身がメインのキャラでもあるので、再度話に上がってきそうです。

結びに

どこか暗鬱な感じのする世界観が持ち味の模造クリスタル先生の作品。
初期の時に比べて絵柄や内容が結構マイルドになっている印象でしたが、模造クリスタル節は十二分に発揮されています。

欠点を言えば、前作の『ビーンク&ロサ』に比べて今作はページ数が少ない上に、りもん先生編の後半部と3pのオマケ以外がウェブ上で読めるのはちょっとサービスし過ぎな気がします。
特に読み比べてはいないのですが、ウェブコミ版と単行本で加筆修正も行われていないようなので、ウェブコミ畑の人らしい気前の良さが、売り上げ的に仇にならないといいのです、と心配になります。

善悪の判断が不明瞭なヘドロさんが、これからどのような話を作り上げていくのか、今後に期待です。


ヘドロさんにはまだまだわからないことだらけ

俺からは以上です。

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