【漫画】文ノ梛先生『旅とごはんと終末世界』(第1巻)感想~終末世界で褐色少女と犬とごはんを~

文ノ梛先生の『旅とごはんと終末世界』(第1巻)の感想です。
文ノ梛先生にとっての初単行本作品なようです。

旅とごはんと終末世界 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
文ノ梛
スクウェア・エニックス (2018-11-22)

作品紹介

世界の終わりで今日もおいしいごはんを。

人の時代が終わりを迎え、ゆるやかに静止してゆく世界。
ロボットの人 蘇芳は、犬の人 ミュートを連れ添い自分を設計した博士≪ご主人様≫を捜す旅をしていた。
道中で出会う、停止した時計塔、朽ちた学校、街だった廃墟。
かつてそこに居た人々の名残りを感じながら蘇芳たちは今日も旅をし、おいしいごはんを作って食べる。
もうすぐ終わる世界を巡る、終末スローライフ。

ロボットの人である蘇芳が、犬の人であるミュートを連れて、自分を設計した博士<ご主人様>を探す物語です。


今作の主人公はこの二人(?)

感想

終末の優しい世界観

人の世界が終わりを迎え、滅びつつあるという世界観を持っており、非常に寂しげで、退廃的な雰囲気が作品の端々から感じられます。
しかしその中にあって、蘇芳とミュートのメインの二人(?)は、少なくとも表面的には寂寥感を持っている雰囲気はありません。
まぁ一人はロボットで、もう一人は一部(?)がサイボーグ化されたような犬なので、人との価値観は違うのかも知れない、というところが大きいのかもしれませんが。


寂しい世界観でありながら、悲壮感はないのが特徴

それでも、この二人(?)以外で登場してくるキャラたちも、大きな悲壮感は今のところ感じられず。
もちろん、絵柄の雰囲気も相まって、「寂しさ」は大いに感じられるのですが、悲劇的な感じはありません。

おそらくは、この人たちは滅びゆく世界を受け入れているのだろうな、と思わせてくれます。
しかしこんな終わり方なら悪くないだろうな、って思えるのがとてもいいですね。

命の味

旅の途中で立ち寄った家に住んでいた男性の比良坂遊糸(作中では「ユウシ」と呼んでと言われていました)が、蘇芳の作ったシチューを食べて「命の味がする」というシーンがあります。


今作の一番大切な部分であると思います

非常に印象的なシーンであり、この作品の根幹の部分に当たるのではないかと思いました。
私自身は、食に対してはそこまで大きなこだわりはないものの、生き物である以上は何かを食べ続けないと生きていけません。

豊かな日本にいると忘れがちな、食べるということの大切さ。
このユウシは、ただ日々を消費するために、食べるということを重視していませんでした。
作中では美味しくできているのですが例えば現実的にも美味しさだけではなく、ただ純粋な食べるという行為を、改めて考えさせてくれた気がします。
もちろん、美味しいに越したことはありませんけどね。

結びに

タイトルや読み始めの頃からは、結構重たい作品かと思いましたが、読み進めていくと大変ほっこりさせてくれる作品でした。
もちろん、終末の世界であるので、一種の寂しさはあるものの、悲壮感はなく、読後感はとても良かったです。

ほとんど謎ばかりの世界であるのですが、今後その謎が解き明かされていくのか、期待しています。


少し寂しさも感じさせつつ、温かい気分にさせてくれる作品でした

俺からは以上です。

旅とごはんと終末世界 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
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