【漫画】仲谷鳰先生『やがて君になる』(第3巻)初回特典・感想 ハイレベルな恋愛漫画

仲谷鳰先生の『やがて君になる』(第3巻)の感想です。
第1巻の記事はこちら、第2巻の記事はこちら、となっております。

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仲谷 鳰
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初回特典

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左はクリアファイルと、右はお蔵出し設定資料集でした(左はとらのあな、右はメロンブックスの購入特典)

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左は『月刊コミック 電撃大王 2017年1月号』(未開封状態)についていたクリアファイルと、
右はメロンブックス購入時の特典でついてきたクリアファイルです。

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『やがて君になる』(第3巻)と『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』の同時購入でついてくる冊子です(メロンブックス購入特典)。

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『やがて君になる』と『ハッピーシュガーライフ』の同時購入でついてくる冊子です(とらのあな及びメロンブックス購入特典)。
こちらに関しては『やがて君になる』(第1~3巻までのうち1冊)と『ハッピーシュガーライフ』(第1~4巻までのうち1冊)の組み合わせで貰える特典となっています。

お蔵出し設定資料集も悪くはないのですが、第2巻までメロンブックス購入特典としてついてきていた『やがて君になれ』は、今回つかなかったので残念です。

作品紹介

このままでいたい。ほんとだよ。

七海燈子と小糸侑。
徐々に距離を近付けるふたりに、佐伯沙弥香は焦燥感を募らせていた。
だが、燈子が望む形で彼女の傍にいることを決めた侑は人を好きになることを諦めようとしていた。

「わたしは誰も好きにならない。これまでも、これからも。」

Amazonより引用

感想

人物関係のアンバランスさ(気に入った点)

第3巻では、生徒会でも「侑」と名前で呼んでも良いか、から始まる更に周りとの人物関係を複雑にさせる展開に。

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この時のやり取りは微笑ましいのですが、その後の展開は一触即発状態に

名前で呼ぶことを簡単に了承する侑に、橙子はさらに踏み込んで「自分のことも名前で呼んで」と言います。
しかしあっけらかんと名前(一応は「橙子先輩」と呼ぶ)で呼ぶと、恥ずかしがる橙子。
ニヤニヤしてしまう話なのですが、その後の展開が非常に怖い。

第1巻の登場時から、明らかに橙子を意識している親友であり、また生徒会の仲間でもある沙弥香
そんな沙弥香ですが、今まで生徒会で橙子が侑を呼ぶ時は「小糸さん」だったのが、突然「侑」と名前で呼ぶようになった姿にビックリします。

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突然の展開に焦る沙弥香(下段の女の子です)

人と距離を詰めることをせず他人とは特別な関係にならない、そう信じていた橙子が、侑との距離を段々と狭めていく姿に驚き、焦ります。
他の生徒会の役員から理由を尋ねられ「もっとフレンドリーでもいいかと思って」と答えたので、沙弥香は

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探りを入れる沙弥香と、動揺する橙子

自分も「名前で呼ぼう」と言い出し、それとなく二人の関係(特に侑の反応)の探りを入れる沙弥香。
やり取りが真に迫っていてメチャクチャ怖いです。

元々侑と橙子だけでもアンバランスな関係でしたが、沙弥香が本格的に参入するようになって、更にアンバランスな関係になっていっています。

このアンバランスさは、侑と橙子の二人っきりの時でも存在します。

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何気ない「嬉しかった」の言葉が地雷になることも

「自分を恋愛の対象と見ない相手」であるはずの侑から「嬉しかった」と言われて、その言葉の意味を目で問い質す橙子。

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怖すぎ

結局、侑は、「橙子にして貰ったから思う嬉しさ」という気持ちを偽って、当たり障りのない「誰にして貰っても思うであろう嬉しさ」であったと説明。

橙子との関係を壊したくない為に言った、自分の本心を隠した理由だけに物悲しい話です。

しっかりとした心理描写(気に入った点)

第3巻でも変わらずに健在である、卓越した心理描写が、最大の見どころと言っても過言ではないでしょう。

例えば、第2巻の後半部から本格的に物語に参加してきた沙弥香。
第3巻では、この沙弥香のエピソードが、短いですが語られています。

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沙弥香の中学から高校に入って橙子に出会うまでの話です

エピソード自体、たった5ページと短いながらも、中学時代に起こった出来事によって沙弥香にとっての恋愛観が形成された経緯。

そしてその恋愛観を持った沙弥香が、橙子に出会いご執心になってしまった理由もとてもよくわかり易く描写されていました。

まとめ

この作品、「レベルが高い」と思わせてくれる部分として、話が引き延ばされずに細かくコンパクトにまとまっているところが挙げられると思います。

大枠ではゆったりと流れている時間の中で突然ハッとするような展開に引き込むという、話に緩急の使い分けが出来ております。短いページでのやり取りばかりでありながら、読み応えがあります。

相手を思いやるがゆえに相手に本性を見せなかったり、自分の気持ちを偽ったり。

まだまだ複雑な話の展開になりそうで、今後とも注目の作品であります。

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年上キャラも充実し始めて大満足

俺からは以上です。

B子
百合漫画というより、もはや恋愛漫画なんだよねえ
A子
同性同士であることでより繊細さが増すような感じがします
C子
現実の恋愛市場でも、もはや男性が不要になったりして(´・ω・`)
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