『谷中レトロカメラ店の謎日和』の感想。伏線はステレオグラフィック。

谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
柊 サナカ
宝島社 (2015-09-04)
売り上げランキング: 13,278

本作は7篇の短編を通じ構成された作品です。

正直、オチはある程度予測は付きますが、この作品の素晴らしいところはもう一つの伏線を秘めていることです。

「カメラとは、写真とは、一体どういう事象のことをいうのか」という基本をなぞった本作は、なかなか美しい作品となっていると私は感じます。

欠片は最後に埋められる

好事家が「レトロカメラ」に対するに一汐の想いを馳せるのは、単にそのフォルムや機構が優れているからではありません。

その背景に制作する者の熱い情熱はもちろのこと、そのカメラで撮影する者の存在、また、ネガを現像する者の存在があってこそ、その価値が際立つのです。

最終章では、本作最大の謎であるヒロインの素性だけでなく、「レトロカメラ」というテーマの日常ミステリーの中で、ずっとないがしろにされてきた、本来存在するべき最後のパズルピースを埋めることに成功していることが、非常に良い読後感を与えることに寄与しているかと思います。

一種の叙述トリック、ともいえるでしょう。なかなかうまい「構図」です。

ビブリアとは違う?

日常系ミステリーの新機軸として称される『ビブリア古書堂の事件手帖』ですが、本作も似た雰囲気は有するものの、『ビブリア』とは異なった作品分類であると考えられます。

というのは、本作は、事件の答えを「カメラの中には隠していない」からです。答えはカメラそのものではなく、「写真」や「行動」に存在していおり、カメラは物語に色を添える触媒としての存在に徹しています。

小説の存在自体を物語解決のキーし、その薀蓄を以って解決してゆくのが『ビブリア』シリーズですから、その点は大きく異なると言えるでしょう。

B5/500世代の読了日記様感想ブログにもありますが、本作には、まさしく『昔の日常系ミステリー』のテイストが眠っている、と言えるでしょう。

穏やかな愛の短編集

メインストーリーもそうですが、いずれの短編においても穏やかな愛を感じることができる作品です。

レトロカメラの知識を楽しみたい方だけでなく、少し心が温まるような、そんなミステリーを楽しみたい方にはおすすめでしょう。

また中途半端なやきもきを続けるラノベ的恋愛ではなく、女流作家的(嫌悪感を持たれたらすみません)であることも、かえって美しく仕上がっているように思います。

個人的には続編は望まないので、単独でドラマ化などを希望したいところです。

(評価:78点)

谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
柊 サナカ
宝島社 (2015-09-04)
売り上げランキング: 13,278

参考になりましたら
いいね!お願いします


漫画・映画・アニメ

【小説】ラノベ編集者「なろう作家は出版するレベルにない人が増えた」 (^ν^)「おまえが言うのか」
1: マイナンバー ★ 2018/02/15(木) 21:16:25.85 ID:CAP_USER9 ここ数年、ライトノベルの世界を席巻しているのが、投稿サイト「小説家になろう」などのネット発の作品。 だが「なろう系」の席巻が、かえってライトノベルの勢いにブレーキをかけようとしている。 ここ数年、プロとしてデビューを狙う作家の卵たちは「なろう系」に投稿。そこで読者をつかみ、スカウトを待つという双方にとってメリットがあるスタイルが定着してきたが、新たな問題が起こっている。 「なろう系で人気を得ている作品でも、そのまま即、出版できるレベルに達しているものは限られています。そこで、出版の際には加筆、改稿をお願いするのですが、何度書き直しても、出版できるレベルに達する筆力のない人が増えているのです」(同ラノベ編集者) 話を聞かせてくれた編集者は、こんな出来事に遭遇したという。 「私が赤入れをした上で改稿をお願いしたのですが……1カ月ほどたって戻ってきた原稿は、わずかに数行が変わっているだけだったのです。わかりますか? ネットに投稿した時点で力尽きて、もうどう

続きを読む

【Twitter】とあるライトノベルをTwitter社がポルノ認定し炎上
【メディア】渡航「俺ガイルで声優と関わったし今度は声優モチーフの話書こwwww
【ラノベ】ラノベばっか読んでるけど読書しないお前らよりよっぽど教養あるんじゃない?
【ツタヤ】図書館の背表紙装飾 中身なし【画像】

「本の感想」記事をもっと見る

本の感想 人気記事

【悲報】なろう作家さん、Amazonの☆1レビューに憤慨、業務妨害罪としての法的手段を検討か(まとめ)
【朗報】なろう作家さん、異世界の厳しさに打ちのめされて無事死亡(まとめ)
住野よる『また、同じ夢を見ていた』感想。キミスイよりも好きです。
【小説】なろう作家の文章、そのシンプルさ故に賛否両論「なろう作者、やっぱり小学生レベルの文章力だった 」
数多ある速読の流派を僕たちはまだ知らない。
【読書感想】三秋縋『三日間の幸福』の感想。”幼馴染属性殺し”「ノルウェイの森」(ネタバレ注意)
【本】異世界転生によく出てくる現代知識・現代科学TUEEEEなものを挙げてく
【悲報】「ニートが異世界で楽しそうなので追いかけてボコボコにする話」、なろうで大炎上(の予定)
「火花」感想・考察。「向こう側」への人間の羨望がここにある。
【読書感想】住野よる『かくしごと』の未読了時の感想(ファン注意)